九州「正論」懇話会
みなさんこんにちは。日ごろお世話になっている人が福岡、九州には多く、お招きいただき本当に幸せに思います。
私はもともと大阪で弁護士をしていまして、ちょうど30年目を迎えました。 弁護士として独立してから5年目のことです。 主人が読んでいた雑誌 「正論」 に教育問題について投稿するようになり、それをきっかけに 「百人斬り訴訟」 に関わるようになりました。 戦時中、中国人の100人斬り競争をやった-という、嘘の記事を基に、2人の日本軍将校が戦後の裁判で処刑されたのです。
2人の将校、向井敏明少尉と野田毅少尉の遺族らを原告に、朝日新聞や毎日新聞、本多勝一さんらを相手に、 (記事で遺族の名誉を毀損(きそん)されたことに対する) 裁判を起こしました。 最高裁で負けましたが、高裁判決文に 「2人の将校が日本刀を抜いて競争した事実はとても信用できない」 と書いてくれたのは大きなことでした。
こうした経緯があり、産経新聞の正論欄の執筆者に抜擢 (ばってき) され、平成17年から書き始めました。
その記事を読まれた安倍晋三首相と、当時は自民党幹事長ですが、お会いする機会がありました。 私は 「小泉純一郎元首相の靖国参拝違憲訴訟は全国6カ所で起こされた。 法曹界には 『憲法教』 という新興宗教がはびこっているので、1カ所くらいはおかしな判決を書く。 すると (たとえ敗訴しても) 原告側は控訴せず、 『靖国参拝は憲法違反』 という判決だけが残る寸法です」 と説明しました。
安倍首相がそれを覚えていてくれたのでしょう。 平成17年の 「郵政解散」 により、私は福井1区から衆院選に出馬し、当選しました。
私が永田町に行ったのは、日本の名誉を守りたいからです。 何も 「南京で何もなかった」 とか 「あの戦争は正しかった」 とか言いたいわけではなく、いわれなき誹謗 (ひぼう) 中傷には断固、反論する。 そう思って国会議員になりました。
慰安婦問題も、断固として反論しなければなりません。
吉田清治という人が済州島で慰安婦狩りをしたと嘘の証言をし、朝日新聞が取り上げて問題になりました。 後に、吉田本人が嘘だと認めているんです。 いわれなき嘘が、日本政府に補償を求める 「慰安婦裁判」 にまで発展しました。 日韓の間には (戦時中の損害の賠償請求権は解決済みとする) 基本条約があるので、日本側が勝訴しました。
でも、慰安婦側が主張した 「20万人の慰安婦を数珠つなぎにして強制連行し、揚げ句の果てに自殺に追い込んだり、犬に食わせたりした」 という内容の証人尋問が事実認定されたのです。
なぜこんなことになるのか。 日本側が反論していないからです。 民事裁判は当事者が争わないことは、真実でなくても事実認定されてしまうんです。
裁判で勝ったとはいえ、これでいいのでしょうか。 私は、将来に禍根を残すと警鐘を鳴らしてきました。 事実、日本の裁判では負けたけれど事実認定された人が、韓国の裁判所に訴え、日本の判決に書かれたことを証拠として出し、勝訴判決が出ています。 中国でも同じですね。
それにしても、韓国は法治国家とは呼べませんね。 私は野党時代、韓国に入国しようとして拒否されました。 竹島は日本の領土だと主張していることが 「公共の安全を危うくする恐れのある人物」 に該当するそうです。 いわゆるテロリスト条項ですが、こんなおしとやかなテロリストが世界でどこにいるんでしょう。
こうした中韓との関係を考えると、日本は裁判の場で、事実と違うことについてはきちんと反論すべきです。 なのに、平成13年の橋本龍太郎首相が進めた行政改革のあおりで、訴訟を担当する法務省訟務局が、なくなってしまいました。 もう1度復活させ、日本が訴えられている裁判で争う体制を整えないといけません。
私は行政改革を担当しています。 そこで訟務局復活を事務方に指示したら 「法務省から要望がありません」 と言うので、谷垣禎一法相にお願いしたら 「要望しましょう」 と言ってくれました。 時間はかかりますが、私が弁護士時代からやりたかったことが、ようやく繋がったと思っています。 抵抗も大きかったですが。
行革のほか、規制改革、公務員制度改革、クールジャパン戦略などに取り組んでいます。
行改というと、(民主党政権で行政刷新相だった) 蓮舫さんの 「2位じゃ駄目なんですか。 無駄、無駄、無駄!」 というイメージがあります。 でも、本当の行革はこの国のあり方を議論し、どんな国を目指すか、ということなんです。 無駄に見える事業がなぜ始まり、どんな目的があるかを検証し、正す必要があります。
規制改革も、「市場原理に毒された人が改革熱に浮かされてやっている」 と思われがちですが、実際に時代遅れの規制はたくさんあるのです。
公務員制度改革は、経産省なら経産省、海軍省なら海軍省、という戦前から課題とされてきた省庁の縦割りをなくすための内閣人事局がようやくできました。 幹部600人の人事を掌握し、霞が関全体の人材戦略を練る当たり前のことがやっと実現しました。
クールジャパン戦略も私の担当ですが、これはみんなが喜んでくれます。 日本のファンを世界中に作ることがこれからの日本外交に求められているのです。
何となくクールコリアとかクールブリタニカみたいに国がやるイメージがあるかもしれませんが、国民1人1人が自分事と受け止める国民運動だと思っています。 つまり、日本人の精神性です。
東日本大震災で、南三陸町の庁舎で若い女性職員が防災無線で避難を呼びかけながら亡くなりましたね。 避難所で、ベトナム人記者が寒さに震える少年にバナナをあげたら、その少年は自分で食べずに避難所の食料集積所に持っていた話も、ベトナムでよく知られています。
日本人が脈々と受け継ぐ民族の魂があると、確信しています。 少子高齢化や財政難、エネルギー問題など、日本が日本の良さを通じて課題を解決することが、クールジャパンの目指す使命です。 安倍首相も同じ考えですので、首相を支えて、日本のために頑張って参ります。
どうもありがとうございました。
(平成26年7月26日 於:福岡市中央区 西鉄グランドホテル)