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「ヘイトスピーチ対策法案」 を前に悪用、濫用がはじまった

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産経新聞 8月17日(月)11時5分配信

 
 仰天論法、朝鮮学校無償化不適用はヘイトスピーチ!? 強まる“圧力”

 
 在日本朝鮮人総連合会 (朝鮮総連) の支配下にある朝鮮学校に高校授業料無償化を求める動きが活発化し、政府が動向監視を強めている。 安倍晋三政権は北朝鮮による拉致問題に進展がないことや朝鮮総連と密接な関係であることを理由に無償化を見送ってきた。 だが、朝鮮学校支援者らが、参院で審議中の人種差別撤廃施策推進法案を利用し、無償化を拒絶する政府方針を特定の人種や民族への憎悪をあおるヘイトスピーチと同一視しようとしているのだ。

 ■ 拉致問題進展が条件

 下村博文文部科学相は平成24年12月の記者会見で、朝鮮学校に無償化を適用しない方針を表明した。 理由については 「拉致問題に進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、国民の理解が得られない」 と説明。 適用基準をこのとき初めて明らかにした。

 一方、安倍首相は7月31日、「政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会」 を官邸で開き、北朝鮮が同月2日に拉致被害者らの再調査報告延期を伝えてきたことについて 「誠に遺憾だ」 と強調した。 結局、遅々として進展しない日朝交渉が朝鮮学校に対する無償化への道を遠ざけてもいるのだ。

 こうした政府側の一貫した態度に、無償化を目指す勢力が目をつけたのが、5月に民主党と社民党などが参院に提出した人種差別撤廃施策推進法案だ。 ヘイトスピーチを取り締まる根拠となる。

 菅義偉官房長官も7月2日の記者会見で、ヘイトスピーチをめぐり 「具体的に何が問題になったか、しっかり調査していくべきだ」 と述べ、実態調査に乗り出す考えを表明するなど積極的だ。 さらに、公明党議員らも同日、菅氏と面談し、ヘイトスピーチに絡み差別撤廃政策の徹底を求めた。

 ■ 無償化不適用は“差別”

 7月22日には、ヘイトスピーチ対策法成立を目指す集会が国会内で開かれ、法案の審議に直ちに入るよう求める決議を採択した。

 集会は 「外国人人権法連絡会」 などが主催し、民主、社民両党の議員ら約10人も参加した。 関係者によると、龍谷大法学部の金尚均教授は基調講演で 「在日特権を許さない市民の会 (在特会) による朝鮮学校への襲撃が下からのヘイトスピーチだとすれば、朝鮮学校の高校無償化適用外という政府の措置は上からのヘイトスピーチだ」 と指摘。 その上で 「政府は朝鮮学校が朝鮮民主主義人民共和国と関係があるからとして高校無償化の対象外にしている。 これにより、日本社会の中で 『この人たちは別に扱っていい』 という雰囲気を作り上げ、適用しないことを当たり前のこととしている」と分析した。

 社民党の福島瑞穂副党首も 「お話があった通り、朝鮮学校を無償化の対象としないことが、差別をしていくという政府のメッセージだと思う」 と主張した。 結局、公明党も前向きに転じつつある法案は8月4日、参院で審議入りを果たした。

 そもそも高校無償化は、民主党の主要政策として鳩山由紀夫政権が平成22年4月に導入。 朝鮮学校に対しては、同年8月に文科省の専門家会議が 「教育内容は判断基準にしない」 とする無償化の適用基準案を示し、適用を認める方向で審査を開始した。

 ところが、同年11月、北朝鮮による韓国砲撃を受け、当時の菅直人首相が審査手続きを凍結。 退任直前に再開を指示したが、手続きは事実上ストップするなど迷走してきた。 安倍政権には、ぶれない姿勢の継続が求められている。 (政治部 比護義則)


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