されば諸君よ、 まず子供に教えよ。 彼自身の生命の尊さを。 ―― 人間の生命の尊さを ―― そこには無限力の神が宿っていることを。 展(ひら)けば無限の力を発し、無限の天才をあらわし、彼自身のためのみならず、人類全体の輝きとなるものが彼自身の内に在ることを教えよ。
彼をして彼が地上に生命を受けて来たのは、自分自身のためのみではないことを、人類全体の輝きを増し、人類全体の幸福を増すために神が偉大な使命を彼に与えてきたのであることを教えよ。
この自覚こそ、最初の最も根本的な自覚であって、この自覚が幼児に植えつけられたものは必ず横道に外れないで、真に人類の公けな歓びのため何事かを奉仕しようと喜び励む人になるのである。
常に子供を鞭撻して、彼の善さを力説せよ。 彼の美点を強調せよ、自分自身のもつ長所を自覚せしめよ。 ここに子供を教養する極意があるのである。
美点を強調し、弱点を忘却せしめ、失意に枉屈する時間を希望に躍進する時間に変化せしめよ。 彼もし希望に輝き、美点にのみ躍進を続けるならば、弱点に執着し、弱点を考え、失敗を悲しんでいる暇はないのである。
心に弱点を置かないとき、行ないに弱点を繰り返す暇がないとき、その弱点を再び繰り返す傾向はうすれてくるのである。 ここに彼の美点のみが発揮され、長所のみが生長する。
最初は彼に接する両親や教養係がそれを賞める ―― やがては人類全体が、彼の長所を賞揚し、美点を讃嘆し、その貢献に拝謝する時が来るであろう。 ここにおいて父母たる者の子供を教養する最後の目的が達せられたのである。
谷口雅春師 『生命の教育』 より