いつも自分の携わっている事業又は仕事が旨く行かないと呟いている人間で成功したという事実を私は未だ聞いたことはないのである。
あなたの心の事物の暗い面に引っかかっらせてグズグズ思い煩うようなことは決してするな。 市場の不景気の話や、金融逼迫の話などを断じて語るな。
“言葉の力”を駆使して繁栄のみを語るようにし衰退のことを決して語るな。
多くの産業人は慢性的に不平不満のコボシ屋になったり欠陥ばかりのサガシ屋になっているのである。 このような人たちにとっては、運命は常にきびしきものとなるのである。 また彼らは常習悲観論者になっていて事物の光明面や成功面を決して見ないのである。 こんな人たちには繁栄は決して訪れて来られないのである。
“成功の樹”はデリケートな樹であって、それを育てるには心に太陽の明るさが要るのであり、それを育てる肥料としては、鼓舞激励を要するのである。
わたしたちは、自分が常に心に描き、心に宿し、間断なくわが思いを馳せているところのものを段々成就し、層一層それを増長せしめる傾向をもっているのであり、また自分が憎み、軽蔑し、習慣的に否定しているところのものを剥落せしめて、それと異なるものとなる傾向をもつのである。
わたしたちが今当面しているところの困難を心で否定するならば、それが今まで吾々を縛っていた縄を解き、やがてそれは消えてしまうのである。
谷口雅春師 『進歩的産業人の生き方』 より