谷口雅春先生
先生の親しいお手紙をいただいてからもう二ヶ月あまりになります。 私は先生から生長の家の勉強会をつくり又ドイツにおける生長の家の支部を設立して教えをひろめる権能を与えてもよいとのお言葉をいただいて、先生の私に対する御信任に感動いたしました。
私はドイツで、先生のみ教えを弘めます。 まず 『あなたは自分で治せる』 の御本から抜き書きをすることです。 私は個人個人に宛てた手紙の中に、その抜粋の複写したものを入れて送りましょう。
私はまだ勉強会や支部をつくることができるかどうかはお約束できません。 第一、私はまだ生長の家の修行とはどういうものか、どのように実行したらよいのかを知りません。 第二に、それは私の手紙運動中に知りあう人々次第です。 まず、これに関心をもってくれるある程度の人数の人々を見つけなければならないでしょう。 そしてその人々が積極的で、活動をいっしょに何か引受けてやってくれることができなければならないでしょう。 一方、私は宗派とか秘教的なあつまりをめざすつもりはありません。 なぜなら、私は、生長の家は自分と自分の家族の幸福を求める人々のためのものだと信じているからです。
『生長の家』 という言葉は、ドイツでは耳なれないものでありますけれども、私は正真正銘のこの名において、み教えを宣布しましょう。 そして名誉〈オナラブル〉ある谷口雅春先生の名を、生長の家とその練成道場の創造者、指導者、そして設立者として上に掲げましょう。 私は生長の家が他の集団や教義〈ドクトリン〉に結びつけられたり混同されたりすることを欲しません。
最近医学の基本的認識として(G・R・ハイエルによれば)次のようにいわれております。 「真の治癒は常に、origin = 本源から生ずる。 そこから全体が癒され、傷つかず治癒のはたらきをもつのである。」 これは、生長の家の教えを認めるものです。
私はたいへんうれしく感動的なことがあり、先生にお伝えしたいと思います。 それは、私たちの家庭が三日前から本当に生長の家になったことを発見したことです。
夕食後、食卓で夫や十三歳になる私の息子が先生の御本を読んでくれるのですが、それをたいへん感動的に、美しく、印象深く読んでくれるので、その言葉が私たちみんなの心に深くはいりこみ、私はしばしば目に涙があふれてまいります。 生長の家が、私達の中に暖かく燦然と輝く光のように昇ってきたのです。 私は、この光が四方にひろがって、更に多くの燈をともすように思われます。
先生は、「神想観による癒し」 の章で、 「この際、はじめから深い愛があることが絶対的に必要である。 生長の家を実現するには、その前に深い愛が必要なのである」 とお書きになっています。 この深い愛は、どうすれば得られるでしょうか。
私は夫や子供たちを自然なやり方で愛しております。 しかし親戚の者になるとそれほど愛しておらず、他人になるともう全然愛してはおりません。 以前には、私は神を愛していると思っておりました。 しかし、私が神を愛していた愛し方はまちがっておりました。 なぜなら、ヨハネ伝に 「汝ら目に見ゆる兄弟を愛し得ずして、いかで目に見えざる神を愛し得んや」 とあるからです。
私はおはずかしいことですが、人々に失望しているのです。 私は、神を本当に愛している人とまだ知り合ったことがありません。 ただ、一週間ほど前に、私たちが休暇をとってスイスに行ったとき母が注射をしてもらうためいっしょに病院へ行ったのですが、そこに一人の若い尼さんがいました。 その尼僧の顔には、神への愛があふれておりました。 私はその尼僧の清純な美しい輝きには、深く感動いたしました。 この愛が先生の御本に書かれている愛でしょう。 病気の治った話の中には皆この愛と慈悲とが満たされているのです。 (岡 正章 訳)
『明窓浄机』 40年新年号
光明法話の過去記事は左欄『今日の言葉』