“郷土愛”、さらにそれが大きくなっては“祖国愛” ―― それは超越的な汎世界的な立場からみまするならば、一個の執着の念だとも評されましょうが、さらにそれを深く考えますと日本に生まれた日本人は日本を愛し善くすることによって世界に奉仕し、人類に貢献すべきであります。
日本人が日本的であることが、世界のためになるのは、桜の木が桜の花を咲かせることによって人類を喜ばすのと同様であります。
国民がその国土に生まれて、その国土から恩恵を受け、自分が現在安穏に生活を続けられているのもすべて国土のお蔭です。 国土の恩(おかげ)と同時に、その国土の開発につぶさに艱苦をなめつつ努力して来られた祖先の賜物でもあります。
この恩この賜の一切を否定してしまって、祖国などはどうでもよい、祖先の意思などというものはどうでもよいものだというように祖国に対して叛逆的思想をいだくということは、恩の否定、賜の否定、感謝の否定ということになって、これは神の道 ―― 人の道ではないのであります。
谷口雅春師 『生命の實相』 生命篇