人間の「徳」と云うものは、能力でも腕力でも知力でもない。
それは内在するその人の身についた善業である。
その人の身についた善業はおのずから善き雰囲気となってあらわれ、
何事を成さずとも、唯その人がいると云うだけで、
周囲の人々に大なる感化を与え、周囲の人々を幸福にすることが出来るのである。
大事業をする人、大政治家、社会事業家など、いずれも素晴しい人々ではあるが、
それらの人々は仕事の大いさによって人々を救うのである。
勿論、かくの如き人々が世を救う力は大であるが、
唯、天皇がましますことによって、日本国の平和の度がより多く保たれるとうが如きは、
能力の力によらず、智慧の力によらず、仕事の力によらず、
天皇の徳の然らしむる処である。
谷口雅春師 『真理』 第8巻 信仰篇