産経新聞8月27日(木)7時55分配信
■「日本の食文化アピール」
カナダで行われる世界的な映画祭の一つで、27日に開幕する第39回モントリオール世界映画祭に、日本の捕鯨の現場を描いたドキュメンタリー作品 『Behind “THE COVE”』 (ビハインド・ザ・コーヴ) が正式出品される。 制作した映画監督、八木景子さん(48)は9月4日に、現地で作品のプレゼンテーションを行う予定で、「映画を通して、日本の食文化をアピールしたい」 と意気込んでいる。
作品は同映画祭のドキュメンタリー部門にエントリーされている。 八木さんは米大手映画会社に勤務した後、自身で映画制作会社を設立。 初作品が海外での世界的な映画祭に正式出品されるという快挙を得た。
八木さんは、和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に描いた米映画 「ザ・コーヴ」 が2010年、米アカデミー賞を受賞したことに危機感を抱き、日本の食文化や捕鯨の伝統がゆがめられて海外に伝わっているとして、この映画に反証する作品を制作した。
昨年、太地町に4カ月間住み込み、反捕鯨団体シー・シェパードが地元の漁師らに圧力をかける様子を撮影。 「ザ・コーヴ」の映画監督や主要登場人物にインタビューしたほか、戦後、南極海で捕鯨を行ってきたベテラン漁師や日本政府の交渉責任者にも話を聞き、作品をまとめた。
八木さんは 「海外の活動家たちは感情論で、日本の捕鯨に圧力をかけている。 環境のバランスを考えたら特定の動物だけを守るのはおかしい。 相手の食文化や宗教を尊重しなくては、諍(いさか)いは決して終わらない」 と話している。