産経新聞 8月20日(木)7時55分配信
■民主、違法ありき / 「第2の人権擁護法案」 声も
民主、社民両党などが参院に提出した特定の民族などへのヘイトスピーチを規制する法案をめぐり、自民、公明、民主、維新の4党は19日、法案への対応を国会内で協議した。 「ヘイトスピーチは良くない」との認識で一致したが、自民、維新両党からは定義が曖昧だなどの慎重論が続出。 表現の自由を規制する恐れもあり、「第2の人権擁護法案」との懸念も出ている。
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4党の参院法務委員会理事らが参加した協議では、「何がヘイトスピーチか」が焦点となった。 自民党の熊谷大氏は 「(解釈の)間口が広がり、表現内容に踏み込むところもなきにしもあらずだ」 と述べ、拡大解釈や表現の自由の規制につながることへの懸念を表明。 民主党以外に法案に全面的に賛同する党はなく、定期的に協議を継続することを確認して終わった。
今月参院で審議入りした法案の名称は 「人種差別撤廃施策推進法案」。 特定の国籍や民族などを差別する言動を禁じる基本原則を策定する理念法で、罰則はない。 政府が差別防止に向けた基本方針を作り、首相が任命した有識者による審議会を内閣府に設ける。
だが法案の 「人種等を理由とする差別」 の定義は曖昧で 「不当な差別的扱い」 「侮辱、嫌がらせ」 も解釈が分かれる余地がある。 自民党には法規制に慎重な意見が多く、党幹部は 「人権擁護法案のようなことにしてはいけない」 と警戒する。
自公政権がかつて検討した人権擁護法案は、差別や虐待などからの救済を目的に新たな人権救済機関を作る内容だった。 ただ、与党内からも人権侵害の定義が曖昧で、恣意(しい)的な運用や表現の自由の規制などへの懸念が噴出。 民主党政権もメディア規制を排除した人権救済法案を国会に提出したが、廃案になった。
「定義が曖昧」 「表現の自由の規制」 は今回の法案にも共通するが、民主党は19日の協議で「法案がズタズタになっても受け入れる覚悟だ」と主張。同党の有田芳生氏は協議後、法案修正について「全くこだわらず検討したい」と語った。
なりふり構わず、とにかく 「ヘイトスピーチは法律違反」 としたい民主党に対し、公明党も法規制には前向きで、石井啓一政調会長は19日の記者会見で「ヘイトスピーチは許されないと法律に位置付けることは重要だ」と強調した。 法成立の可否を握る与党間の調整がカギとなる。