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『憲法に守られた平和』 という幻想

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産経新聞 7月27日
                やおよろずの森代表  葛 城  奈 海


『自衛隊・防衛問題に関する世論調査』 (今年1月 内閣府) をめくっていて、「もし日本が外国から侵略された場合は?」 というページではたと手がとまった。

 「一切抵抗しない (侵略した外国の指示に服従し協力する)」 が5・1%いるではないか!

 想像力の欠如もここまで来ると恐ろしい。 奴隷でもいいというなら、その尊厳のなさに愕然とするが、おそらくは意識下に無抵抗なら命は保証されるという子供じみた甘えがあるのではないか。

 しかし強制収容、拷問、虐殺 ・・・ そうした戦慄すべき事実は、今この瞬間も世界の各地で繰り返されている。

 「一切抵抗しない」 方には、自分や自分の大切な存在の喉元に刃が迫る場面を真摯に想像していただきたいと思う。

 回答を男女別で見ると、女性は6・6%と男性3・3%の倍であった。 これで思い出したのが、自衛官募集担当者の 「安保法制論議の影響で、志願者が激減している」 という言葉だ。 母親たちが 「危ないから」 と止めるらしい。

 国会で自衛官の危険が増す云々の論議も、むなしさを禁じ得ない。 だからこそ尊いのだ。 より重く論じられるべきは、むしろ国民の安全であるはずだ。

 多くの国民が長く 「憲法に守られた平和」 という幻想に陥ってきた中、その欺瞞と骨身に感じてきたのが拉致被害者のご家族であろう。

 予備役ブルーリボンの会が先般開催したシンポジウム 「拉致被害者救出と自衛隊」 で、あるご家族が 「自衛隊が動くことで隊員さんの命がかかると思うと申訳ない。 その一方で、一国民としては 『平和』 な日本で拉致がまかり通るのはなぜと感じる」 と思いを吐露された。

 これに対して 荒谷卓 元陸自特殊作戦群長 は 「1人助けるのに仮に自衛官10人が死んだとしても、それは作戦と技量が未熟なだけで、気にされないように」 と答えた。

 またアンケートには、自衛官の妻から 「お役に立てるなら、家族は喜んで送り出します」 ともあった。

 前述の無抵抗派や母親らに聞かせたい。

       ‐‐‐‐‐‐‐
  葛城奈海 近著 『国防女子が行く』 (ビジネス社)

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