すばらしい能力をもっていながら、その能力を充分に発揮できずに一生を終る人があるのは、まことに残念なことです。
そのような人は、いつも自分が認められないことを嘆きながら、酒を飲み、グチをこぼし、不平不満の心を持ちつづけて、なかばヤケ気味の生活をおくっています。
能力をもちながら、認められない人、また認められても仕事のない人の多くは、結局、職場で一緒に働いている人たちと調和のとれていない人なのです。
谷口雅春先生の著書 『無門關解釋』 のなかの第二十則に、「大力量人」というのがあります。 大力量のある人が、それを発揮するための三つの条件が説かれています。
一は、大力量があるとの自覚。 二は、自覚したら百錬千磨といって訓練に訓練をかさねること。 三は、調和と教えてあります。
一と二はすぐ理解されたのですが、三が私にはどうも理解できなかったのです。 説明してありますけれども、どうもピンとこなかったのです。 しかし栄えた人や成功した人の体験談を聞きまして、だんだんとこの調和がいちばん大切であることがわかってきました。
生長の家の教えの根本となっているのは、この調和でありますが、 “『七つの燈台の点燈者』の神示” の冒頭に 『汝ら天地一切のものと和解せよ。 天地一切のものとの和解が成立するとき、天地一切のものは汝の味方である』 と示されています。
『天地一切のものは汝の味方である』 ということは、大変なことでありまして、言いかえますと敵がなくなると言うことであります。 敵がなくなれば、みんな自分の協力者でありますので、自分のすることに誰も反対しないということです。 そうなれば、自分を認めてくれないとか、仕事がないなどということは、ないはずであります。
大力量人が、その力量を充分に発揮するためには、どうしてもその力量を発揮さしてくれる人が、たくさんいなければならないのです。 私たちは自分ひとりで仕事ができるものではなく、協力してくれる人が必要なのです。 大きい仕事であればあるほど、より多くの協力者が必要です。
自分にどんな力がありましても、協力してくれる人がありませんと、自分の力を充分に発揮することができません。 協力してもらうためには、お互いが調和していることによって、お互いがよく理解しあっていることが、とても必要なのです。
私自身も若い時は、自分の力だけに頼って、自分でなんでもしてみせると自惚れていましたが、大きい仕事になればなるほど、とても自分一人でできるものではないと、ツクヅク教えられました。
調和することは、和解することであり、和解することは、感謝することである、と生長の家で教えられましたが、協力してくれる人に感謝することを忘れたとき、必ずといってよいくらい仕事がうまく行かなくなります。 これは私の長い間の体験でハッキリ教えられました。
よく協力してくれている人に慣れてしまって、ついアタリマエだ、という氣になった時に、協力がおかしくなることがよくあります。 職場でも、家庭でも、友達でも、常に感謝を忘れたとき、問題がおこります。
『生命の實相』 に 『感謝は、機械にさす、油のようなものである』 と教えられておりますが、繰返し体験することによりまして、シミジミと教えられました。
徳久克己 医学博士 『精神科学』誌
※光明法話の過去記事は左欄『今日の言葉』