産経新聞 1月2日(金)20時4分配信
2015年、ラグビーW杯がイングランドで開かれる。 ラグビーがほかの競技と違うのは、日本代表に海外出身の選手も所属できることだ。
世界の統括団体であるワールドラグビーでは 「3年以上居住し、他国で代表歴がない」 などの条件があれば、代表選手になることはできると規定。 欧州などの列強でも “常識” だ。 ただ日本では、五輪やサッカーが国籍に準じていることや、単一民族国家であるためか 「なぜ外国人がいるのか?」 「感情移入できない」 といった意見が出る。
現在の日本代表も複数の海外出身選手がいる。 主将のリーチ・マイケル (東芝) もニュージーランド (NZ) のクライストチャーチ出身だ。 来日して10年。 現在は国籍も取得しているが、そのマインドはもはや日本人以上かもしれない。
「試合の前の合宿中には、必ず全員で 『君が代』 の練習をします」。 ほかの外国出身選手はもちろん、日本人選手にも歌詞の教えることもあるという。 「『君が代』 の中身を自分たちにつなげて、歌詞を理解して歌わないとダメだと思います」 と話す。 『君が代』にはいろいろな解釈はあるが、古今和歌集に起源を持ち、長い繁栄を祈ったものとされる。
15歳で札幌山の手高に留学。 東海大を経て東芝入りした。 NZ時代にラグビー留学に来た日本人と知り合って興味を持ち、いつかは行ってみたいと来日2年前から勉強を始めた。 「日本に来てから特別な勉強をしたわけではないというが、今では 「ひらがな、カタカナ、漢字も少し。新聞もラグビーの記事ならだいたい分かります」。 『君が代』 については 「インターネットでいろいろ調べました」 と明かす。
日本代表で海外出身選手が主将を務めるのは、リーチで2人目。 初代のアンドリュー・マコーミックは、くしくも同じクライストチャーチ出身で同じ東芝所属だった。
リーチ自身も、外国人選手の代表入りが一部で抵抗を持って受け止められていることは理解している。 そのうえで 「それが日本のラグビー文化。前から外国人の代表はいたし、これからもいる。みんな同じぐらい頑張っている」 と訴える。
W杯に向け気持ちは高まっている。 「世界一の練習をやってきた。 対戦相手が決まってからずっと相手は意識しているし、楽しみ。あとはやるだけです」 と意気込む。
日本を愛し、代表に魂をささげていることだけは揺るぎのない事実だ。
(芳賀宏)
(芳賀宏)