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小学生に英語を教へても国際人にはならない

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 終戦直後に占領軍は、日本人の魂を消滅させる為、国語を革命 (漢字の制限および仮名遣ひの変更) し、徹底した検閲 (言論統制と弾圧) を行った。 教室では古事記、万葉集等の古典は軽視され、教育勅語も教へられなくなり、また、愛国を意味する言葉や唱歌も全て使用を禁じられた。 その結果、今日では、学力は低下の一途を辿り、大学生が外や漱石の文章を読めなくなり、また巷には意味不明のローマ字やカタカナの社名が溢れてゐる。 言葉遣ひの乱れは止まるところを知らず、NHKのアナウンサーが敬語を平気で間違ふ。 ことに皇室に関する新聞報道は読むに堪へない。 恐ろしいことに誰もこのことを異常とは思はない。

 私達の祖先の叡智が生み出した豊かな日本語を破壊することによって美しい日本の伝統・文化を消滅させようと意図した占領軍とそれに協力した知識人の目論みは見事に成功しつつある。 個性尊重の米国式教育法が間違ってゐたと判明した今日、漢字制限を撤廃し、歴史的仮名遣ひに即刻戻すべきであらう。 ついでに言へば、幼年時代には漢字はいくらでも覚えられる。

     江戸時代の学問の仕方に学ばう

 緊迫した国際情勢の中で偉大な明治を築いた我々の祖先は、幼年時代に古典を素読させられることを学問の出発点とした。 意味は分らないまま、古事記や万葉集、太平記、論語の章句を暗記させられたのである。 そこには古典に揺ぎ無い信頼をよせてゐた私達の祖先の姿が垣間見られるし、素読によって基本的な語彙を豊富に身につけた子供達の個性は強くたくましく鍛へられた。 江戸時代の親達の教育方法は今こそ吟味されるべきであらう。

     教育再生実行会議の猛省を促す

 5月28日に安倍総理に手渡された教育再生実行会議 (座長・鎌田薫早稲田大総長) 作成の 「これからの大学教育の在り方について (第三次提言)」 を読んで慄然とした。 提言案は、「小学校英語の拡充」、 「海外で活躍できる人材の育成」 がねらひで、小学5、6年生で必修化されてゐる週1回の 「外国語活動」 について、正式な教科にして専任教員を確保することや、実施学年の引き下げ、指導時間の拡大などの検討を求めてゐる。 提言案には 「日本人としてアイデンティティと幅広い教養を持ち…」 との表現はあるが具体策は何も述べられてをらず、古典や日本語に対する記述もなく、母国語への愛着が全く感じられない。

 大部分が 「グローバル化に対応する教育環境造り」、 「徹底した国際化」 の為に割かれ、低学年での英語教育の開始が要望されてゐる。 藤原正彦氏の名著に 『祖国とは国語』 (新潮文庫) があるが、まさに私達が国語 (日本語) を捨て去った時に日本は滅びるのである。 国語をおろそかにした小学生に日本人としてのアイデンティティが生れるはずもない。 グローバルスタンダードとは米国人の考へに同調することであると錯覚し、国際化とは英語を話すことだと勘違ひしてゐるとしか思へない。

     先づ 「日本人」 を育てよ!

 小学生時代こそ徹底して国語教育に力を注ぐべきであって、万葉集の一首を子供達に読ませて感動を与へることがどれ程大切か言ふまでもなからう。 この大事な時期に授業時間を削って英語を教へるといふことは愚かとしか言ひやうがない。 自国の文化・伝統を身につけた人こそが他国の文化を理解し味はふことが出来ると思ふ。 足掛け12年間海外に駐在した商社マンたる筆者の体験から言へば、日本の文化・伝統について質問された時に答へられない人は外国では尊敬されない。 また、英語教育の開始時期は中学で良いと思ふし、それも読み書きを十分に教へるべきであると思ふ。 重要なことは、古典に通じ、日本の文化・伝統を理解し、誇りを持つ若人の育成である。

 私達の祖先の生き方を学べば、自然に道徳心は身につき、愛国心は芽生える。 かうした若人こそが真の国際人として多様化する国際関係の中で日本をリード出来る力を持つのであって、英語を喋る人とは本質的に違ふことを認識すべきである。 占領軍が押し付けた憲法を改正することと、教育を正常化して美しい日本語と豊かな文化・伝統を取り戻すことは真の日本を取り戻す車の両輪なのである。

               澤 部  壽 孫  (元日商岩井(株))
                月刊誌 『国民同胞』 第621号 より             

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