産経新聞 11月18日
恥ずかしながら、最近まで知らなかった。 鳩山由紀夫元首相が、政治活動で使う名前を 「友紀夫」 に変えていた。 「友愛への理解を深める」 のが理由というから、あきれてしまう。 「最低でも県外」。 鳩山氏の無責任な発言が、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設問題をこじらせ、地元に不毛な対立を生んでしまった。
▼政治家引退後も、非常識な行動は収まらない。 尖閣問題で中国に利する発言を繰り返し、移設反対派に加担している。 一時は沖縄知事選出馬も取り沙汰されたが、さすがに実現しなかった。
▼日曜日に投開票が行われた選挙で初当選したのは、名護市辺野古への移設反対を掲げる、前那覇市長の翁長雄志氏だった。 政府は粛々と作業を進めるだけだが、工事阻止を狙う活動の激化は避けられないだろう。 それ以上に気がかりなことがある。
▼沖縄在住の作家、恵隆之介氏によれば、翁長氏は 「鳩山氏よりもっと危険な親中派の人物」 だという。 すでに那覇市内の市有地には孔子廟(びょう)が建てられ、中国の石材を使った、高さ15メートルもの龍柱の建設が予定されている。
▼翁長氏に名誉市民の称号を授与した中国福建省の省都福州市は、習近平国家主席のお膝元でもある。 翁長氏の背後には、習氏の影が見え隠れする。 中国共産党の機関紙はかつて、琉球諸島の帰属は未解決との論文を掲載した。 翁長沖縄県知事は、中国の支援を受けて独立を果たし、日米両国政府に 「米軍撤退」 を要求するのではないか。
▼こんなシナリオを紹介した恵氏の近著 『迫りくる沖縄危機』 (幻冬舎) が、沖縄で売れている。 にわかに信じがたい話だが、確かなことが一つある。 沖縄は反米反日一色ではない。中国の脅威を懸念する声も高まっている。