産経新聞 10月8日(水)12時40分配信
大分県教職員組合による 「慰安婦ツアー」 募集や教職員が参加した 「訪朝団」 など、多くの問題が浮上した大分県の公教育で、是正への機運が高まっている。 7日の大分県教育委員会の会議では、県教組主導といわれる 「平和授業」 の内容を疑問視する声が上がり、県教委側は調査することを表明した。 県PTA連合会も慰安婦ツアーの調査と指導を県教委に要望した。 大分県は広島県、北海道とともに 「H2O」 と称される日教組の牙城。 長年にわたる歪(ゆが)んだ教育に変化の兆しが現れている。
今月1日、大分県PTA連合会 (県P連) は、野中信孝・県教育長に対し要望書を提出した。
県教委によると、要望書は、中学生と保護者を対象に県教組が毎夏実施している 「親子で学ぶ 韓国平和の旅」 を取り上げ、実態調査と指導を求めた。
今年も7月25~27日に実施されたこの旅行の実態は、韓国の慰安婦関連施設の見学が中心の 「慰安婦ツアー」 だった。 県教組が旅行業法に基づく登録がないまま、新聞広告で募集するなど違法行為も発覚した。
この問題を産経新聞が7月に報じたこともあり、県P連に保護者から不安や疑問の声が多数寄せられた。 このため、県教組の活動に対し、指導を徹底するよう県教委に要望したという。
また、要望書は大分県内の公立小・中学校で30年以上前から続く 「平和授業」 についても触れた。
平和授業は2月11日 (建国記念の日)、5月3日( 憲法記念日)、8月6日 (広島原爆忌)、12月8日 (太平洋戦争開戦日) の時期に合わせて、年4回、実施している。
授業内容は、各学校や学級に任されており、県教委も把握していないという。
ただ、大分県の教育関係者は 「平和授業は、県教組の反日・自虐史観の要素が濃い運動方針に沿って始まった」 と打ち明けた。
県P連は 「学習指導要領に準じたものか調査し、自虐的な思いを煽(あお)るような内容だったら、指導してほしい」 と要望した。
県教育長の野中氏は 「保護者の方々の願いを受け止め、市町教委と連携し、二度と不安の声をいただくことのないよう、対処したい。 平和授業については実態を調査した上で必要な措置を講じる」 などと回答したという。
平和授業は、教育委員会の会議でも取り上げられた。
委員の1人は 「平和授業が県教組の運動方針で実施しているのなら、適切な授業とはいえないのではないか」 と指摘し、実態調査を求めた。
保護者や教育関係者が不安を抱くのは、大分の公教育、特に県教組の問題点が次々と明らかになっているからだ。
慰安婦ツアーや、北朝鮮のプロパガンダ拠点を巡る 「訪朝団」 ばかりでなく、県教組は保護者を対象に主催する 「ミニ懇談会」 で、集団的自衛権行使容認に反対する内容を打ち上げたこともあった。 ミニ懇談会では、学校の住所録の名簿を使って開催通知を送付しており、個人情報保護条例に抵触する可能性がある。
大分県教組の組織率はかつて90%を誇り、現在も70%近くある。 日教組の平均組織率は25%程度でしかない。
この高い組織率と、「社会党王国」 と呼ばれた土壌を背景に、大分県は広島、北海道と並んで日教組の牙城といわれた。 教育界では3道県を 「H2O」 と表現することもある。
広島県では卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱をめぐり県立高校の校長が自殺する事例があり、国旗国歌法成立のきっかけとなった。 北海道教職員組合 (北教組) は、勤務時間中の組合活動などが問題となった。
広島県は平成10年、文部省 (現文科省) が、法令などに照らして不適正な教育を是正するよう指導し、正常化に向けて動いた。 大分県も、ゆっくりではあるが、その後を追いかけている。