産経ニュース 2014.9.25 08:29
「日本は中国と距離を置いていた時代こそ、うまくいっている。遣唐使を廃止した平安時代。 鎖国の江戸時代。 『脱亜入欧』 を掲げた明治期も日露戦争までは良かった。 今こそ、その歴史に学ぶべきでしょう」
『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』 (PHP新書) で第23回山本七平賞を受賞した。
日本国籍を取得して7年。 今どきの日本人より、よほど “日本人らしい”。 武士道や日本庭園を愛し、帰化したときは真っ先に伊勢神宮に参拝した。
半面、母国であった中国の覇権主義、共産党独裁にはペンで厳しい視線を向け続けている。 決別のきっかけは天安門事件 (1989年) だったという。
「それまでの私は、むしろ愛国者だったと思う。 だが、今の中国は “古き良き時代の精神” を失ってしまっている。 どうか、中国には健全な民主主義を備えた国に生まれ変わってほしいと願っている。 それが日本の国益にもかなう」
高成長を続けてきた中国経済の失速もいち早く予見。 ここでも 「日本企業の深入りは危険」 と警鐘を鳴らす。 「もはやメリットよりもリスクの方が高い。 日本企業はインドやベトナムなど中国以外のアジア諸国に軸足を移すべきだ」
尖閣諸島 (沖縄県石垣市) 周辺での日中の緊張は今も続いている。
「日本は 『2つのこと』 で絶対に揺るがないことが大事です。 一つは、強固な日米同盟関係を引き続き維持する。 もう一つは、日本人自身が 『自らの領土は自らで守る』 という意識をしっかりと持つこと。 そうすれば、中国も簡単には手を出せませんよ」 (喜多由浩)